2015年12月10日木曜日

「平穏死」のすすめ

介護資格を取りに通っていた頃。ある日の講義の合間、特養で働くベテラン女性講師に「今日読み終わったとこなの。おすすめだよ」と手渡された本が『平穏死のすすめ』でした。

著者の石飛さんは、長年続けた血管外科医を引退して、世田谷にある特養芦花ホームの常勤配置医として働き始めた。しかし胃ろうをはじめとする延命ありきの医療・介護によって、老衰の終末期を迎えた体に不自然な負荷と苦痛を与えてしまうことに根深い問題を感じる。職員と利用者の家族の心に寄り添いながら、関係者の本当の願いと怖れに向き合う対話を重ねていく。医師としての経験を背景に、施設改革の経緯と看取りの事例を挙げながら、ターミナルケアのあり方を問いかける。

「医療技術の進歩と延命主義による自縄自縛の悲劇をそこに見た思いでした」

自身のオペの訴訟体験も述べつつ、医療の現実を語る言葉は真に迫る。今働いている老健でも十冊購入して職員の間で読み回しています。

千葉市の特別養護老人ホーム勤務の女性介護士に借りて
後にAmazonで購入した『平穏死のすすめ』
石飛幸三著 ISBN978-4-06-577464-2